「ちりとてちん」終了

odarinden2008-03-29

桜が咲きかけたというのに、今日は花冷えです。
夜、太鼓亭で食べたのは春っぽい彩り揚げおろしそば。


朝ドラ「ちりとてちん」、本日ついに最終回。
毎朝泣いて笑った6カ月、無事に完走しました。


思えば(間違ってるかもしれないケド)、ドラマのファーストカットが
黒猫のアップリケだったことが、ここまでハマった大きな理由だったかもw。
その後も黒猫モチーフは、喜代美の大掃除のほっかむり手ぬぐい、
小浜の喜代美の部屋のぬいぐるみ、糸子さんのエプロンなどで発見し、
そのたびにキャーキャーしていました。
これは何か落語ネタの伏線かもと思ってのですが、そうでもなかったようで、
じゃぁ何でこんなに登場したのかは、いつかCPに聞いてみたいと思っております。


私はやはり、喜代美がどこにでもいるモジモジした普通の子で、
思いが空回りしたり小さなことでクヨクヨする姿が、きわめて自然で好きでした。
今日の放送を見て夫が「そもそも、すべてが若狭のおかげやのに」と言ってましたが、
それを前面に出さなかった(誰のセリフでも言わせなかった)センスは凄いと思う。
“誰かに光を照らす仕事”とは、思えばこういうことでもあるんだな。
何か大きな変化のきっかけになることなんて、そのときには全くわからなくて
後になって「そういえばあれが」とか気付いたりするもんですし。


塗箸と落語、小浜と大阪、同時に進行する別の話が完全にシンクロして、
重ねた小さなエピソードが大きなテーマを包み込み、
あとでまた違った気付きや感動になって再登場するという脚本が、底抜けに見事。
登場人物すべてを丁寧で温かい視線で描き、個性的で愛すべきキャラに仕上げ、
誰が欠けても成り立たない網の目のような壮大なワールドを作り上げていました。
小道具やセットにまで溢れた遊び心も粋だったよなぁ。
結局あたしもセットを3回見に行ったし。


今日の最終回は、落ち着くところに落ち着いたなという印象でした。
最終週になって、正直、内容の詰め込み過ぎと説明不足が気になっていました。
特に若狭が落語家をやめる流れは、上方落語を脇から支えていくという役割よりも、
ただ引退しで専業主婦になってしまうんか、もったいない、という印象の方が強くて。
思い立つのが突然すぎて、無理やりっぽかったですね。
「お母ちゃんみたいになりたくない」をどう回収するかが一番の見どころで、
それが終盤でひっくり返されることは誰もが期待していたわけですが、
あんまりにももってくるのが最後で、その後が駆け足過ぎですよぉ。
…でももう今さらだし、四草のシングルファーザーが面白かったからいいやw。
ラストシーンの喜代美はまるで菩薩のように柔らかで美しい表情でした。
今まで塗り重ねてきたものが磨かれた瞬間、でもあったと。
母になるのは、“命をつなげて人から人へ大切なことを伝える”ことの、
大きな象徴としての表現だったのでしょう。
そして、ひょっとしたら数年後に高座に復帰しているかもしれない、
そんな余韻を残してくれたのが、ありがたかった。
番組を作ってくれたNHKのみなさま、役者さん、みんなに大・大・感謝です。


そして、今だから声を大きくして言いたいのです。
由布姫は貫地谷しほり一人二役でやってほしかったっ!」