鎖瀾閣の復元
地域一帯に配られたらしく、職場に封書で署名のお願いが来ました。
その内容は「谷崎潤一郎がかつて住んでいた屋敷の復元」について。
谷崎は阪神間に移住したのち界隈だけで10回ほど引越しをしているのですが、
その貴重な足跡を示すかつての住まい・鎖瀾閣が阪神淡路大震災で全壊。
ここは谷崎唯一の持ち家かつ彼の美意識が結集した邸宅だったそうで、
地域の文化遺産としてなんとか後生に残せないかということになったようです。
そこでNPO法人が中心となって復元運動が始まり、資金のめどもつき、
もとあった場所の近くに土地も確保できた…という現状があると。
ところがそこからなかなか実現に向けての話が進まなくなってしまった、
ついては署名を募って行政にさらなるアピールしていきたい、という内容でした。
確かにこの「鎖瀾閣復元」については最寄駅に大きな看板まであり
rindenでも多少は知っていることでしたが、どうも難航しているようです。
なんでそこまで行ったのに話が止まってるんだろう。
というのが単純にひとつ疑問だったのと、
説明では「鎖瀾閣復元」だけに言及しているにもかかわらず
署名用紙の上部には「鎖瀾閣復元とナオミの家の移築」と書いてあり、
突然ここだけに出てくるナオミの家っつーのも謎でした。
谷崎潤一郎というと大正から昭和にかけての文豪で、
友人に奥さんあげたり?ちょっとエロい小説書いてた人、程度の認識しかない。
「鍵」と「卍」を読んだ覚えがあるけれど、内容は覚えていません、すんません。
rindenのように、きっとこういう人が多いと思うのです。
気になって調べてみると、話が止まっているのは近隣住民の反対なんだそう。
さらに「ナオミの家」というのは「痴人の愛」を執筆したこことは別の家のこと。
今年春に解体されたものの、できればこの鎖瀾閣を復元する際に
同じ敷地内に移築したいという考えがあるらしいのですが、
「あんな小説にちなむ家など教育上よろしくない」との反対意見があって、
こちらも同時に話が進まなくなっているようです。
私のような適当な先入観だけの人がいかに多いことか、わかります。
ということで、おおよその経緯がわかりました。
でもさぁ、愛欲とか性愛って言葉に引っ張られてるんでしょうけど、
教育上どうのこうのって、何言ってんだろw。
日本の文学史に輝いている人ではないですか。
しかも阪神間モダニズムの体現者ですやん。
ぜひ、復元&移築していただきたいと思いました。
ところがっ!
署名できるのは神戸在住者だけだったの。ぷー。