日帰り旅ルポ/年月と歴史の重み

odarinden2005-04-17

遠出をする場合、夫とではなく夫の両親と一緒に出かけることが多い。
今日のおでかけは兵庫県北部但馬地方。合併で朝来市養父市になった地域だ。


まずは「神子畑選鉱場」。といってもピンとこないだろうけれど、
明延鉱山から産出される鉱石をスズ、銅、亜鉛などに分け、
全国の製錬所に送り選鉱する場所として栄えていたところ。
1919(大正8)年に建設された急な斜面を使った東洋一の施設は昨年取り壊され、
コンクリートの基礎部分の土台やゲーブルカーのレールなどが残っていた。
その姿は無気味といえば無気味だけれど、なんだか圧倒される。
確かにここに、何百人もの人たちの営みがあったのだから。
その証拠に、周囲には見事な桜がいーっぱい。しかも4月中旬の今日満開!
京阪神からはちょっと遠いけど、マル秘スポットとしておすすめです。
関西ウォーカーには絶対教えないように!


次に、日本の滝百選にも数えられる「天滝」も見た。
駐車場から山道を実に30分近く上るとやっと、勇姿が見えてくる。
マイナスイオンに包まれた川沿いの道のせいか、それほどしんどくなかった。
落差98m、岩肌を伝ってダンダンと叩き付けてくるダイナミックさだった。


最後に見た「樽見の大桜」(画像)は、樹齢約千年、幹周5.95m、高さ15mのエドヒガン桜。
国の天然記念物に指定されている巨木である。
一度は危機に陥ったこの木だが保存会の努力で甦り、見事に花を付けていた。
巨木ゆえに幹にばかり気をとられ、花があんまり目立たないのは仕方がないけれど、
大地に根を張って太陽の光をもらい、精一杯に生きる姿は感動ものだった。
ここも山道を歩くのだけど、車道がところどころ陥没&崩れたままに。
昨年北近畿を襲った水害台風23号の爪痕だ。
土砂がざっくり持っていかれた様はそのすさまじさを物語っている。
その後の震災などでかすんでしまったけれど、
兵庫県では阪神淡路大震災に次ぐ災害として位置付けたほどの深刻なものだった。
惨状を目の当たりにして、市街地よりも山村部の復興の方が難しいのかもと思った。